Software engineering from east direction

六本木一丁目で働くソフトウェアエンジニアのブログ

年末にちょうどいい「やり抜く人の9つの習慣」と「やる気が上がる8つのスイッチ」

TL;DR

  • 「やり抜く人の9つの習慣 コロンビア大学の成功の科学」を読んで、目標設定を冷静に振り返ると、継続性のある目標になりそう
  • 「やる気が上がる8つのスイッチ」を読むと、自分自身のやる気のタイプや他の人のやる気のタイプを冷静に分析することができそう
  • 「やり抜く人の9つの習慣 コロンビア大学の成功の科学」・「やる気が上がる8つのスイッチ」と2冊で、1時間足らずで読める

読むきっかけ

風呂で YouTube をダラダラと眺めていた際に、ふと目に入ったメンタリスト Daigo の 「12/31に読むと人生変わる本【1時間で読める】1」という動画をさくっと見た。

1時間かからずに読めそうという点で読んでみたのがこちらの二冊でした。

この2冊が紹介されているのは、目標達成のために継続する方法・やる気を出すきっかけを得る方法を、セットで得るため、と動画内では紹介されていました。

が、実際に自分が興味を持ったのは、次の2点においてでした。

  1. やる気から見た8つのタイプ
  2. 自身の目標設定の再評価

1. やる気から見た8つのタイプ

「ハイディ・グラント・ハルバーソン の やる気が上がる8つのスイッチ」で説明されている、やる気から見た8つのタイプでした。目の前にいる人がどういうモチベーションで日々取り組んでいて、何に喜びを感じるのか?という点について考えることが多いのですが、その考えるフレームとしてこのタイプは非常に良い枠組みになりそうです。

2. 自身の目標設定の再評価

また、「2020年を実践知識をより多く獲得し体系化する一年へ」にて行った、自身の2020年の目標設定が、これらの心理学的な観点において、有効たりうるかを再評価したいという思惑があります。

2020年抱負 実践知識をより多く獲得し体系化する一年へ - Software engineering from east direction

この2つの観点でこの書籍を振り返ります。

1冊目「やり抜く人の9つの習慣 コロンビア大学の成功の科学」

「ハイディ・グラント・ハルバーソン の やり抜く人の9つの習慣 コロンビア大学の成功の科学 [^2]」には、目標の設定の具体性などさまざま継続してやり続けるための方法が書いてありますが、一部「なるほど」と思った点だけ。

if-thenプランニング

目標達成のためにやるべき行動を明確にするための一つのアイデアです。日々追われていると、やるべきことが多すぎて、何から手を付けていいかわからない、そのようなときがあります。このような自体に対処するために、心理学で効果実証された方法が、if-thenプランニングと呼ばれる方法です。

つまり、(if)もし、Xだったら、(then)Yをするという形式で習慣づけたい行動を明文化するアイデアです。

例えば、「もし、午後6時になったら、会社のジムで汗を流す」といった風に。この方法が習慣化しやすい理由として、脳の構造上、「XならY」という文章を記憶しやすい特徴があると本書では説明しています。

私自身、この書籍をうけて、「2020年を実践知識をより多く獲得し体系化する一年へ」にて、「なにか焦りを感じるときがあれば、すっと深呼吸」という表現で、外部環境に左右されない精神性を保とうと考えたのですが、if-thenプランニングの形式で、「もし、心に焦り・もやもやを感じたら、1回深呼吸する」という風に変えました。

「これまで思考」と「これから思考」

これは、シカゴ大学の心理学者ミンジョン・クーとアエレット・フィッシュバックの研究によって整理された、目標に対する2つの視点です。

「これまで思考」とは、「どこまでやり遂げたのか」に視点を向ける思考スタイルで、「これから思考」とは、「あとどれだけやらなければいけないのか」に視点を向ける思考スタイルです。

実験の結果、「これまで思考」の強い人は、早い段階で達成感を持つために、早く気が緩んでしまうという結果が出ているそうです。

そのため、「これから思考」を重視して、目標までの距離を図ることが、モチベーション維持における重要な点と言えそうです。

2冊目「やる気が上がる8つのスイッチ」

「ハイディ・グラント・ハルバーソン の やる気が上がる8つのスイッチ」は、いかにして自分あるいは他人のモチベーションのスイッチを入れるかという点について説明しています。この書籍では、画一した一つの方法だけを示しているわけではないことが特徴です。つまり、体調不良をお医者さんが診断するときに多種多様なタイプに応じて必要な処方箋が違うのと同様に、「やる気」という点においてもそれぞれのタイプに応じて必要なアプローチが違うという点を強調しています。

証明マインドセットと成長マインドセット

まず、その人がどのようなマインドセットを持っているかについて、2つのマインドセットを紹介しています。

証明マインドセットを持つ人は、自分の能力の証明に焦点を当て、エネルギーを注いでいます。つまり、人に自分の能力を見せつけ認めさせようとしているタイプです。そのため、意識的/無意識的に他人と自分を比べます。そして、ミスをすることをいつも恐れ、自分にはできない/無理だということが人にも自分にもわかってしまいことを怖がります。

端的な表現を使うと、「すごい人と思われたい」人と言えます。一方で、成長マインドセットは、「すごい人になりたい」人です。

成長マインドセットを持つ人は、他人の目をあまり気にせず、他人が自分をたとえ認めてくれなくても、やると思ったことをやる人です。困難に直面したときも粘り強く頑張り続けるという特徴があり、有利に働きやすいのは「成長マインドセット」です。

私達が固定的にどちらにマインドセットを持つというわけではないようですが、私自身、「証明マインドセットが顔を出していたな?」と反省することが度々あるなと気づくことがあります。きっと、人間だから他の方もそういうときが思い当たるのではないかなぁとおもうのですが、注意が必要ですね。

獲得フォーカスと回避フォーカス

たとえ同じ目標に向かっていても、そのアプローチは人によって違います。それはどこに焦点を当てるかによって変わりそうですが、それが「獲得フォーカス」・「回避フォーカス」という整理です。

  1. 獲得フォーカス(Promotion Focus)
    • 高いレベルの仕事: 獲得であり達成
    • 動機づけ: 称賛を得る
  2. 回避フォーカス(Prevention Focus)
    • 高いレベルの仕事: 安定感であり信頼性
    • 動機づけ: 批判を避ける

これらはどちらが良いというよりかは特徴としてどちらよりかという風に人を見ると面白いかもしれません。

多くのことに手を出しがちなのが獲得フォーカスなのに対し、回避フォーカスはやり始めたことは最後までやろうとします。途中でやめたり、考えを変えたりするのが苦手なのです。獲得フォーカスの人が仕事を先延ばしにしがちなのに対して、回避フォーカスの人は最初から時間を多めに見積もり、期限までに仕事を完了できるようにします。

ハイディ・グラント・ハルバーソン. やる気が上がる8つのスイッチ (Japanese Edition) (Kindle Locations 222-225). Kindle Edition.

8つのタイプ

これまで上げた「マインドセット」・「フォーカス」に「自信の有無」を加えた3つの軸で、8つのタイプが現れるようです。

  1. 中二病
  2. うざいやつ
  3. 臆病者
  4. 退屈な人
  5. やる気の空回り
  6. まじめな見習い
  7. 新星
  8. 熟練の匠

書籍では、これらのタイプ別に治療法を提示していますが、「7. 新星」・「8. 熟練の匠」が目指すべき境地と解説しています。

たとえば、新星は、

というタイプで、個人が持っている能力を存分に発揮しているよいレベルだとしています。

また、熟練の匠は、

というタイプで、目立たなくてもしっかりとその場を支えてくれる人たちです。

この整理がいいなと思うことは、この整理によって、タイプが違う人に対してその能力の発揮を認識しやすくなる点です。正直なことを言うと、自分が「獲得フォーカス」が強い人間だと自己認識している分、「回避フォーカス」が強い方の思考やモチベーションを理解しづらい側面があります。しかし、この整理によって、「その人は回避フォーカスで成果を上げている熟練の匠タイプなんだ」と納得できれば、タイプが違っても理解できる。非常にいいアイデアだなと感じました。

まとめ

以下の2冊を読み始めて、2冊で1時間足らずで読めたので、年末最後に一冊という方には、ちょうどいい分量なのではという感じでした。

  • ‪ハイディ・グラント・ハルバーソン の やり抜く人の9つの習慣 コロンビア大学の成功の科学
  • ‪ハイディ・グラント・ハルバーソン の やる気が上がる8つのスイッチ

また、この書籍から多くの参考文献のリンクが貼られているので、人間観察の材料としての心理学の入り口としてもちょうどいいと思います。